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中国:ロボット産業とハイテク産業に1兆元投資へ
中国・全人代がベンチャー・キャピタル・ファンド設立を発表
【2025年3月25日フランクフルト】 中国の国家発展改革委員会は、ロボティクス、AI、最先端イノベーション技術を対象とする官製ベンチャー・キャピタル・ファンドの設立を発表した。今後20年間で地方政府や民間セクターからおよそ1兆元(1,380億米ドル)の資本を見込んでいる。この取組みを通じ、新たな技術による中国製造業の持続的な成長を目指している。中国における産業用ロボットの設置台数はこの10年で増加しており、世界シェアの20%程度から、今では半分以上を占めるに至っている。
Fourier社の製造業向けGRxヒューマノイドロボット(© Fourier Intelligence)
「中国は、自国製造業のアップグレードに類を見ない速さで成功しています。」と国際ロボット連盟(IFR)の伊藤孝幸会長は言う。「同国は、2021年12月に発表したロボット国家戦略に基づき、いかに系統立てて競争力を強化していくか、その例を示してくれています。」
ロボティクス分野における中国の成功
中国のロボットメーカは国内シェアを大幅に拡大してきた。中国メーカ製産業用ロボットの中国国内での年間設置台数を見ると、そのシェアは2020年の30%から2023年には47%に増加している。これらの企業は、あらゆる消費財の需要が増大する中で成長を続ける中国の消費者市場の恩恵を受けている。様々な産業において自動化が広がっており、例えば、2023年には電子産業向け産業用ロボットの2/3近くが中国向けであった。そのうち54%が中国メーカ製であり、世界の電子産業全体で見ると約33%が中国メーカ製ということになる。また、金属・機械産業に至っては国内シェアが実に85%にも及んでいる。
リスク・キャピタルとイノベーション
中国は、次なる重要な一手としてロボティクスを、人工知能などの他の新興技術や、改良されたコアコンポーネント(中核部品)、スマート製造の新たな応用シナリオと統合したいと考えている。この方針は、ヒューマノイドロボットを先端技術と位置付ける最近の取組みや、新たに承認された官製ベンチャー・キャピタル・ファンドにより示されている。
「中国は、巨大な規模の経済をいかに効果的に利用するか、身をもって示してきました。」とドイツ機械工業連盟(VDMA)ロボット・オートメーション部門のディートマー・レイ会長は言う。「ヒューマノイドロボットへの巨額な投資が行われているのは、ヒューマノイドに関する国家戦略を策定している中国だけではありません。大掛かりなベンチャー・キャピタルがイノベーションを牽引している米国においてもそうです。この非常に重要な分野において、欧州は遅れを取ってはなりません。欧州におけるヒューマノイド技術は、研究室での研究から、拡張性のある、価格競争力を高めた製造へと舵を切ることが不可欠です。欧州がヒューマノイドロボティクスの最前線に立ち続けるためにも、組織的な努力が必要となります。」
中国の全国人民代表大会及びロボット国家戦略について
第14期全国人民代表大会(全人代)の第3回会議は2025年3月5日~11日に開催された。全人代は中国の最高権力機関として位置付けられており、法律や政策、ガバナンスに関するあらゆる決定がなされる。「『第14次五カ年計画』ロボット産業発展計画」は、「中華人民共和国 経済・社会発展第14次五カ年計画及び2035年までの長期目標要綱」の中に盛り込まれている。
国際ロボット連盟(IFR)が配信するプレスリリース(英文)の日本語参考訳を掲載しています。なお、原文と日本語参考訳との間に齟齬がある場合は、原文の内容が優先されます。
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