IFRプレスリリース
2020年IERA賞の受賞者決定:人間の「目」を手に入れたロボット
掲載日:2021年1月14日
国際ロボット連盟がPhotoneo社に授与
【2020年12月15日 フランクフルト】 2020年の「Innovation and Entrepreneurship in Robotics & Automation (IERA)」賞は、Photoneo社の高精度3Dスキャナ「MotionCam-3D」に贈られることが決まった。この3Dスキャナは、高速で動く対象物を撮像することができ、産業用ロボットにとって世界一鋭い「目」となる。
「第16回IERA賞の受賞者として、Photoneo社のMotion Cam-3Dが選ばれたことを発表することができ、審査員一同、嬉しく思っている」と米電気電子学会ロボティクス・オートメーション部門(IEEE RAS)のRobert Ambrose審査委員長は述べている。「この賞は、革新的なアイデアと、そうしたアイデアを形にして市場に送り出す起業家精神を表彰するものである。Motion Cam-3Dは、ステレオビジョンと構造化照明手法の両方の利点を兼ね備えた、これまでにない新しい3Dイメージングシステムである。これにより、社会や産業界において複数の用途に適用可能な、高速で高精度な知覚システムを生み出すことができる。」
バーチャル開催されたファイナリストのプレゼンの様子(左から右へ)
Alexander Verl(ISR会長)、Enrico Krog Iversen(OnRobot社、IERA賞ファイナリスト)、Robert Ambrose(IERA賞委員長)、Milton Guerry(IFR会長)、Svorad Stolc(向かって右側:Photoneo社、IERA賞受賞者)
サブミリメータまで見分けるロボットの目
Photoneo社はスロバキアのブラチスラバに本社を置くメーカである。同社のJan Zizka CEOは次のように述べている。「MotionCam-3Dは、高性能で正確な世界最高の『目』をロボットに授けることになる。搭載されているカメラは、時速140キロメートルの速さで動く対象物も検知可能であり、電子商取引や物流分野、商品の仕分けシステムや自律搬送システムなど、様々な分野で役立つと考えられる。また、食品加工やゴミの分別、農業における収穫作業でも有用である。さらに、マシンビジョンの精度が高いことから、ロボットは高解像度画像を用いて対象物を分析することができる。これは、品質管理の面で重要なことである。」
中小企業にも自動化の波を
今回IERA賞を受賞したMotionCam-3Dのような、スマート協働ロボットのアプリケーションの登場により、中小企業がロボットによる自動化を導入するハードルは大幅に下がる。「従来型の産業用ロボットは、こうした新たなハードウェアを簡単に取り付けるだけで、人にとってさらに有用なものとなる」と国際ロボット連盟(IFR)のMilton Guerry会長は述べている。
2021年IERA賞
2021年のIERA賞受賞セッションについて、IEEE RASは、2021年5月30日~6月5日に中国で開催されるICRA会議にて実施予定としている。現在、同賞の応募受付を開始しており、応募締切は2021年2月28日である。
*IERA賞は、優れたアイデアを持つ発明者とそれらのアイデアを世界クラスの製品に推進した事業者の業績を称え表彰するもので、ロボティクスにおける科学と産業間のより強力な連携を促進するために、米電機電子学会ロボティクス・オートメーション部門と国際ロボット連盟が共催している。2005年から始まった本賞は、毎年1~2名(社)が受賞しており、第1回(2005年)の受賞者はiRobot社(米国)ジョー・ジョーンズ氏「ロボット掃除機・ルンバ」、2009年には、CYBERDYNE株式会社(日本)山海嘉之氏「ロボットスーツHAL」が受賞している。
国際ロボット連盟(IFR)が配信するプレスリリース(英文)の日本語参考訳を掲載しています。
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