欧州の環境規制

EU(欧州連合)では、有害な化学物質の使用を規制、あるいは禁止するといった環境に関わる規制が各種設けられており、同地域向けに製品を輸出する場合には厳格な管理が求められています。

欧州理事会及び欧州議会の調停委員会は、これまで廃電気電子機器(WEEE)指令や有害物質の使用制限に関するRoHS指令について議論してきましたが、2002年10月に合意を得、2003年2月13日付欧州官報で正式に通達されました。

WEEE指令(原文)は、廃電気電子機器(Waste Electrical and Electronic Equipment)の回収やリサイクルを製造者に義務づけたもので、2005年8月13日に発効されます。

  • 対象品は、以下の10種類の製品となります。
  • ① 大型家電(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン等)
  • ② 小型家電(電気掃除機、アイロン、ヘアドライヤー、トースター、時計等)
  • ③ 情報技術(IT)及び通信機器(パソコン、プリンタ、コピー機、電話等)
  • ④ 民生用電子機器(ラジオ、テレビ、ビデオ機器、オーディオアンプ、楽器等)
  • ⑤ 照明器具
  • ⑥ 電動・電子工具
  • ⑦ 玩具、レジャー・スポーツ機器
  • ⑧ 医療用装置
  • ⑨ 監視・制御機器
  • ⑩ 自動販売機

製造者はこれら製品の市場への投入にあたって、保証金の支払いが義務づけられるほか、製造日、製造者を容易に識別できることの表示、そして本指令発効前の旧製品についてもリサイクル費用を負担するなど、対象製品の廃棄物に対する製造物責任が強化されています。

RoHS(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)指令(原文)は、上記電気電子機器へのPb(鉛)、Cd(カドミウム)、Hg(水銀)、Cr6+(6価クロム)、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質を、2006年7月1日以降、該当製品を市場投入する場合は非含有とする規制です。

欧州の新化学品規制(REACH:Registration, Evaluation and Authorization of Chemicals)は、欧州委員会においてこれまで検討されてきましたが、2003年10月に正式に採択されました。今後、欧州議会、及び欧州理事会において法制化の手続きが進められることとなっています。

本規制の概要は、登録、評価、認可、制限の4つの手続から構成され、新規化学物質、既存化学物質(約10万物質)を問わず対象とされます。また、化学品製造者・輸入者のみならず、化学品の使用者・化学品を含む成形品製品の輸入者も規制の対象とされています。

登録 年間1t以上を製造・輸入するものの化学物質が対象となり、試験データの事業者間での共有義務づけや、成型品中の化学物質についても一定条件を満たす場合は対象。
評価 当局が登録された情報を評価し、必要に応じて産業界に情報提供の要請や必要な試験等を指示。
認可 発ガンなどの懸念が極めて高い物質については原則上市禁止とし、用途ごとの認可制とする。
制限 人や環境に容認しがたいリスクがある場合、製造、上市、使用について制限。